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自分の身の丈は超えようとせず、身の丈までは常に精一杯。 自分が自分の行動記録的な日記として残しているブログ。 失礼恐縮&無礼勘弁。

自分の日記

   

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南インド紀行(’98.8.22~29)その2

8月24日(Mon.)
06:41 今、電車の中。Kadakavur(カダカヴール)に停車中。
33809ab2.jpeg時刻表を見ると、次のVarkala(ヴァルカーラ)に06:40に着く予定。少し遅れている。Triv. Centralからここまでに駅は4つあったはずだが、外を見ていても良く分からず、壊れた駅の残骸のようなものが一つあっただけだった。
夕べは思ったより良く眠れた。天井のファンがうるさく、スイッチを弱にしても風が強かったが、洗濯物を干していたので止めるにもいかずとても不安だった。こんなところで風邪を引いたら大変だと心配して寝られないかとも思ったが、昼間のうちに買っておいたショールが大当たりで、熟睡できた。途中、ファンがうるさくて夜中の2時ころに目が覚めたが、それだけ。そのうえショールのお陰か、ファンのお陰か、夕方から焚いていた蚊取り線香のお陰か、蚊に刺されることもなく、夢も見なかった。こちらの雨期は確かに湿気が多く、昼間は蒸暑い。が、日本と違ってコンクリート熱も無いので、朝晩は涼しい。洗濯物が乾かないのは難儀するが、快適だ。因みにこの部屋にはシラミがいるかと思ったが、いない。インドの安宿にこれまで何泊したかわからないが、蚊には時々会うけれどシラミには会ったことがない。インドでも最近は減ったのか、日ごろの行いがよろしいのか…。
今朝は05:00に起きた。駅まで行って切符が取れなかったら次の列車まで待たねばならず、出来ればチェックアウトしないで荷物もここに置いて行き、切符が取れたら戻って荷物を取ってから乗るようにしたいが、この時間だともう行って戻れないから、行くならチェックアウトしてからということになる。しかしそれで切符が取れなかったら困る。こんな真っ暗な早朝に駅でずっと待つならもう少し寝てからゆっくり行くか。そんなことを迷いながら着替え、結局そのまま宿をチェックアウトして駅まで急ぐ。まだ日は出る前で、外は真っ暗。でも早くCochinに行きたくて、ウキウキしながら足を速める。頭の中でビージーズのIn the Morningが流れる。駅に着いて、当日の切符売場の窓へ向かう。昨日、お姉ちゃんがいた窓。でも今日いるのは、真面目そうなおばちゃん。心配は無用だったようで、06:00発の№6349,Trivandrum Mangalore Parasuram ExpressのFC(First Class)の切符はあっさり取れ、席の指定はなかったが座席も空いていた。切符を買う時に窓のおばちゃんが、この列車はFCと2ndしかないと言うからFCにしたのだが、実際にはFC A/Cがあって、金持ちが数人座っていた。移ろうか迷ったが、雨のせいでそれほど暑くはなさそうなのでnon A/Cにそのまま座ったが、結果としてはこれで正解だった。朝が早かったので非常に眠かったのだが、空いた窓からずっと外の流れて行く光景を見ていて、それが面白くてほとんど寝ることが出来なかった。切符は294Rs.。結構高いが、これがA/Cになると更に倍くらいする。金額は最初、外国人旅行者用の価格で現地価格より高いと思った。が、local timetableの最後についている料金表を見ると、fixed priceだった。Triv. Central StationからErnakulum Town Stationまで223kmだから、料金表の221kmから225kmの欄を見ると、ExpressのFCは294RS.。間違いない。これが1A(A/C First)が796Rs.!!、2A(2Tier A/C Sleeper)が470Rs.。A/Cは非常に高い。ついでに見ると、SL(Sleeper Class)88Rs.、Ⅱ(Second Class Chair Car)61Rs.。Ordinary(普通列車)のⅡは、なんと33Rs.。同じ距離を行くのに、20倍以上も違う。こんな時に、インドの階級制度を強く感じる。日本では考えられない。これが単に値段の差だけではない。“低いランク”の人たちは少しくらいお金があっても、上のレベルには近寄らない。逆に“高いランク”の人たちは、下のレベルが安かろうが、快適だろうが、どうあってもそこに入ろうとはしない。このような感覚は話しても判らない。こうして自分の目で何度か見て、やっと理解できるようになってきた。そのルールに従うことも判ってきた。
外ばかり見ていたら、Varkalaに着いた。この辺では20分くらい遅れている。外の景色は素晴らしい。Back Waterそのままの水路やら湖やらが出入りして、陸地はヤシの木で覆われている。集落がポツポツと現れては消えて行く。インドで列車に乗るといつも感じることだが、こんなに広い国で長距離の移動をしていて、街からはかけ離れた所を通っているのに人の気配が途切れない。この国には実際どれだけの人口があるのだか。でもそれら集落の家にもすべて格差がある。小さなものは5~6軒、大きな所は20軒以上の家が集まっているが、一目で見ても“偉い人or金持ちの家”と“下級or貧乏な家”が判る。水辺が多い地域だが、高いところに大きな綺麗な家があり、低い水に近いところや線路脇には小さな家や泥だらけの家、中には水没している家もある。インドではムンバイのような大都市から、こんな田舎の隅のほうまで、至る所で“格差”を目にする。
b2197773.jpegさっき、Triv.を出てすぐに“駅弁”を売りに来た。軽い朝食で、薄っぺらい食パンにオムレツを載せたのが9.75Rs.、コーヒー3Rs.。オムレツは、中に生のグリーンチリが入っているほかは日本にもありそうなオーソドックスな味だが、このチリが辛い。でもこれが美味い。北インドではチリペッパーは赤いのばかり、それも乾燥させたのが多かったと思うが、こちらではほとんど全ての料理に生のグリーンチリが入っている。たまに料理の中に赤いのも見えるが、全て乾燥もの。全部ではないが、料理はグリーンチリを除けば辛くないものが多い。そこで安心していると、突然ビリビリっとやってくる。胃には悪いのかもしれないが結構病み付きになり、気に入ってしまった。少ししてマトンライスを売りにきて、とても魅力的だったがさっき食べたばかりなので諦めた。
07:30 Quillon(クイロン)着。当初の予定では、ここからAlleppy(アレッピー)まで、Backwater Tourで船に乗って移動するつもりだった。約8時間のノンビリする旅が、2時間弱の味気ない列車行になってしまった。(と言っても、この列車自体はとても楽しい。船に比べれば、の話。)残念だが次回に期待したい。列車は15分ほど遅れているが先ほどより少し取り戻している。インドらしくない。有り難いのだが、どれくらい遅れるかと覚悟(という期待を)していたので、少しがっかりする。
08:50  Tiruvalla(ティルヴァーラ)着。遅れは10分までに縮まった。
8370f5e0.jpeg時々弁当やらコーヒーを売りにきて、その度にそわそわするが我慢していた。でもこの辺が行程の大体半分と思い、コーヒーをもらう。3Rs.。南のほうはコーヒーが多いが、それを“チャ~イ、チャイ”と言って売っている。“チャイ”とは紅茶に限らないものなのか。このすぐ後に、豆とチリの入った芋団子のようなスナックを売りにきて、食す。小さなのが3個で9Rs.。上にチリ入りのケチャップのようなソースがかかっていて美味い。外は明るいが雨が降っている。南インドのお天気雨。
09:25 Kottayam(コッターヤム)に着いた。
すごい。ずっと10分位の遅れで走っていたが、ここには2分も早く着いてしまった。信じられない。どこの国のことやら。更に不思議なのは、ここの一つ前のChenganacheri(チャンガナーチェリ)を通過したのは08:51の予定に対して09:00、それなのにここには09:27の予定に対して09:25!!!!。36分で来るところを25分で来てしまった。やれば出来るじゃないか!でも、それまでも一生懸命走っていたのに・…。相変わらずワケわかんない国だ。
 
列車は11時過ぎにErnakulum Town Stationに着いた。駅からMain Jetty(主たる桟橋)までAuto Rickshawに乗ったのだが、最初声をかけてきたのは、既に一人乗せていて相乗り客を探している車だった。20Rs.だと言っていて、話の様子からほぼ妥当な値段だろうとは感じたが、相場を知るために断る。で、次に少し離れたところでボーッとそている運ちゃんを見つけ、こちらから声をかけたところ25Rs.。一人乗車の相場はこんなものと思い、交渉成立。5Rs.の損かもしれないが、運ちゃんが人懐こく、名前はRaheem、25才と言っていたが、Jettyまでずっと喋っていってとても楽しかった。でもインドの運ちゃんはこいつに限らず、運転しながら後ろを振り向いてしゃべりまくる奴がいる。まァ、事故に遭ったことも無いので皆それなりに注意はしているのだろうが、結構恐い。時々冷や汗が出る。
Jettyに着いて少し待って、11:45のボートでFort Cochin(フォルト・コーチン。コーチンの旧市街部。インドの街は、新旧に別れていることが多く、旧市街を探す時は“Fort Area”と言えばたいてい通じる。)に向かう。1.60Rs.。途中はまたヤシの木に囲まれた穏やかな水面を、遠目に見たらおそらく流れるように、乗っている身からしたらバタバタと、進んでいく。船は当然ボロで、中ではエンジンが剥き出しになっている。バスや電車と同じく、前のほうに女の人が固まって乗り込んでいる。窓がないので風が心地よいが、海が荒れた時は恐いかもしれない。後で知ったのだが、雨が降ると青いビニールシートを窓に貼り付ける。阪神大震災の時にみんな屋根にかけた奴。でもそれを準備する間に席はビショビショになって座れなくなってしまうが。
15分ほどで船はFort Jettyに到着。そのまま目指すHotel Seagullに向かう。ここはLonely Planetで見つけたのだが、バックパッカー用にしてはちょっと高い。しかしKeralaでは海の見える部屋でのんびりしたいと思っていて、まさにその欲望を満たしてくれる、目の前が海で窓からChinese Fishing Netが見える、ロケーション抜群のホテルがここらしい。Jettyから一番近いということもあり筆頭候補にして、部屋を見てから考えることにする。
Hotel Seagullに着いて部屋を見せてもらう。最初の部屋は小奇麗だが、窓が無い。シャワーは水だけ。これで220Rs.。部屋は悪くないが、海が見えないならここにこだわることはない。それならもっと安いところがあるようだし。次に見た部屋が気に入った。330Rs.だが海に面したレストランのすぐ手前で、窓からChinese Fishing Netが見える。Non A/Cだが風通しが良さそうで、シャワーには小さなボイラーが付いているからお湯が使える。一応ツインルームで、ベッドが二本置いてあるので広く使えるところも気に入った。他はもう見ずに、ここに決めてしまった。
529e80e3.jpeg99667ab8.jpeg0c0d5364.jpegフロントに戻ってチェックインして部屋に入る。料金はひとまず一泊分を払っておいた。蚊が多そうなので、すぐに蚊取り線香を焚いて洗濯。洗剤とお湯を使い、初めてまともに洗濯をした。
一休みして部屋から出る。帰りの飛行機のreconfirmをしなくてはならないので、フロントで電話を借りようとしたが、ここのホテルからはlocal phoneしか出来んという。CXはムンバイのofficeしか番号が判らないので仕方なくJettyの横にあった売店のSTDに行く。しかしここからかけたムンバイのCXは、お休みだというテープメッセージしか流れず、他の連絡先も判らない。困っていたら売店のおやじがCochinにあるCX officeの番号を調べてくれた。有り難い。しかしここにかけたところ、予約はされていないと言われた。あせったが、もう一度確かめてもらったところ、OK。日本人の名前がよく分からなかったようだ。結局、ムンバイまでの無駄な数十秒の通話料が27Rs.で5分近く話していた市内通話が2.70Rs.。お礼を言って30Rs.払ってきたが、最初から市内のCXの番号が判っていればコーヒーを何杯も飲めたのに。
5746d824.jpeg1dcac6bd.jpeg朝早くから動いていたせいで少し疲れていて眠かったが、外へ出たついでにと思い散策をする。ところがちょっと奥のほうに歩いてKathakali Centerの手前まで来たところで急に雨が降ってきた。見る間にどしゃ降りになり、近くにあった農作業小屋のような建物の軒下でしばらく凌いでいたが、空の色がかなり暗いのでまだ降りそう。ひとまず降りが弱まったところを見計らって宿に戻ることにする。ホテルで仕方なく、また昼飯も食っていなかったので、部屋の前のレストランで一休みとする。今、午後2時。
aec074a3.jpegeb2d2460.jpegMutton Biriyaniを食いたかったが無いと言うので、Grilled Fish 100Rs.とPlain Rice 20Rs.、コーヒー7Rs.を頼む。魚が手間なのか、30分ほどしてやっと来た。先に来ていたコーヒーがとっくになくなっていたので、お代わりを頼んで、いざ食す。外は相変わらず、台風のような雨風。魚は美味い。マナガツオのスパイス焼きのようなものだが、魚が新しいようで、口触りは日本のあっさりした焼き魚と変わらない。白い飯と良く合って、量は多かったがほとんど全部食べてしまった。インドの米はいろいろある74e65c1e.jpegが、このようなチョットまともな飯屋で供するオーソドックスな米は長粒種。でもタイ米よりはるかに長い、極長粒種。
このレストラン、全般に量が多い。コーヒーもカップで頼んでるのにポットに入れてくる。カップに2杯くらいはある。最初は間違えたのかと思ったほど。ここのポット・コーヒーは一体どれだけ持ってくるのか。全部で145Rs.だった。かなり贅沢。やっと雨が上がって、明るくなってきた。
4cad74ad.jpeg飯代払って、残金は300Rs.強。夕べの段階で1,000Rs.あったから、700Rs.くらい使ったのかなと思ったのだけど、電車が295Rs.、宿代が330Rs.、さっきの飯が145Rs.、Auto Rickshawが25Rs.それに船代だと合計で800Rs.くらい使ったはず。あれっ、おかしい。お金が多い。100Rs.得した気がする。こんな国では有り得ないんだけど、こんなこと。いずれにせよ、明日の朝にでも銀行へ行って両替してこないと。宿代の残りも払わなくてはならないし。今晩はKathakali Danceを見に行こう。


20:20 Kathakali Danceをみて、今帰ってきた。
b15c3b00.jpeg6e877c78.jpeg午後は散歩がてらChinese Fishing Netまで行った。昔中国から伝わったと言うこの漁法は、遠目に見る景色としては素晴らしい。しかし近くに行くとボコボコ。丸太を雑に組みあわせてロープで括り、重しとして石をたくさんぶら下げてある。夕方の16:00過ぎに行ったがちょうど魚を揚げたあとで、様々な魚が籠に入っていた。これ、こんなに大袈裟なものなのに、近くで魚を捕っている様子を見ると、可哀相になる。こんな大掛かりな道具で、一回に取れる魚は小さな手網に半分も無い。これを一日に何度も何度も繰り返し、生計としている。あくまでも遠くから見るものだね、これは。
奥の方に行くと取れた魚を売っている小屋が並んでいる。沖に出ていった船の獲物も持ってくるようで、かなり大きな魚も売っている。Netで取れているのは、キスやサヨリ、鯒、等の小魚ばかり。基本的には鯊のようだけどアナゴの尻尾に大きな頭をつけた、人相の悪い赤い魚もいる。小魚ばかりと言っても、こんな目の前で取れるにしては大物ばかり。沖から持ってきた魚は、マナガツオとかハタの類とか、美味そうな魚ばかり。他にもロブスターや蟹もいる。今度ゆっくり来れた時には、ここで魚を買って自分で料理してもいいかもしれない。値段は聞かなかったが、地元の人も買いに来ているから、そんなには高くはないのだろう。本来は、こんなのが市場の始まりなのだろう。魚を捕っている、そのすぐ目の前で売っていれば、魚を買いたい人はすぐ分かる。
44aef36c.jpegここに魚を買いに来ていた家族と仲良くなった。夫婦と3才くらいの子供との3人で来ていて、この男の子が可愛くて、この子と仲良くなって写真を撮って、結局家族みんなと一緒に写真を撮ってきた。現像したら焼き増しして送る、と約束して住所も聞いてきた。Mr.Shamla.Py 13/627 Shamla Manzil  K.C.Road, Chullickal, Cochin-5。地図で見ても場所が分からないが、近くらしい。インドの人は、金持ちや特に商売がかっている人を除いては、皆写真を撮ると喜ぶ。そう言えばJuhu Beachにもポラロイドカメラを持ってウロウロして観光客に声をかけているのが何人もいたし。
ca904c53.jpeg一度宿に戻ってKathakaliのチケットを買ってから、Kathakali Centerに出かける。チケットは70Rs.。最初に宿で聞いた時に70Rs.とは言っていたが、Netに散歩に行く途中にK. Centerの前を通るので、念のため値段を確認しておいた。Centerはまだ開いていなかったので、入り口の横の屋台のオヤジに聞いた。
17:00からメーキャップ、18:30ころから舞台ということで、舞台だけ見ればいいかなと少し迷ったが、せっかくなので全部見ることにする。
17:00少し前に行って門を入ると、小屋の入り口のところに上半身裸の、明らかにDancerと判る顔つき、体つきのがっしりした男が立っていて、話し掛けたところ、やはりそうだというので、素顔を写真を撮らせてもらう。Kathakali Centerといっても小さな小屋程度の場所だが、その中に入ると小さな舞台の真ん中で小柄な男が既にメーキャップを始めていた。ゴザのようなものを敷いた上に胡座をかいて座り、手鏡を見ながら顔に模様を描いている。まあ慣れたもんで、緑、赤、黄、の顔料を使って線を綺麗に書いていき、その上で色を塗っていく。しばらくすると先ほど入り口にいた男も入ってきて、横に座って塗り始めた。別な男が舞台の隅に座ると、最初に始めていた男がその足の上に頭を載せ、白い糊状のペーストで白い化粧と、更にKathakali特有の顎のエラ飾りをつけていく。見ていると、薄い発泡スチロールを顔の形に合わせて切って形を整え、この白いペーストで貼り付けていく。この男は緑を基本とした化粧に白いエラ飾り、2番目の男は黒を基本とした化粧でエラ飾りは無し。最後に入ってきた一番若い男は黄色に赤を少し混ぜた程度の色で自分の肌を塗りたくっていたが、模様はほとんど無し。この人、白いペーストも塗ってもらえない。一時間ほどやっていて3人はひとまず舞台から降りていった。
5cff4907.jpeg待っている間に白い紙が配られる。ストーリーの要約を英語で書いた紙。少しして、紙を配ったこれも上半身裸の男が舞台で挨拶と、簡単にKathakaliの解説をする。Kathaはstoryで、kaliはplayだそうだ。メーキャップに使っている色はすべて自然の顔料を使っていて、緑はIndigo、赤と黄色はその色の石をヒマラヤから取ってきてこれを石板にたらしたココナッツオイルで擦って色を出す。黒はオイルランプの脇に置いた石に付いた煤。白は米を水で練ったペーストだそうだ。彼らは顔の表情を目立たせるため、目の中にも顔料を入れて赤い色をつけるそうだが、この色は花の種をつぶして作る。確かに目が血走ったような色をしていたが、自然の顔料だから、健康に悪影響はないといっていた。色にはそれぞれ意味があり、緑はgood、黒がdemon、赤はcruel、黄色はfemale。白はnatural。さきにメーキャップしていた3人も、緑がヒーロー、黒い顔が悪魔、赤味がかった黄色は女の人の役。続いてデモンストレーションが始まる。まずは打楽器。挨拶した男が小さなシンバルをカスタネットのように使い、もう一人がコンガのような太鼓を叩く。二人でいろいろなパターンのリズムを聴かせてくれる。次に女のメーキャップしたのが舞台に上がり、Kathakaliで使われる様々な表現方法、主に顔の動きと手先の動きをシンバル男の解説にあわせながらやってみせる。一通りやった後でこれらを組み合わせて、お父さん、お母さん、お姉さん、お兄さんから象やらコブラやら、川の魚やら王様やら様々な動き、また哀しみの表現やら怒りの表現、穏やかな“あちらへどうぞ”から普通に“あっちへ行って”、更には激昂しての“消え去れ!”まで、あらゆる表現をしてみせる。基本的にコミカルな動きが多く、向こうは真面目にやってるのだろうが、結構笑える。
4e287f1c.jpeg本番が始まったのは19時近かった。Kathakaliは難解だと聞くが、解説を読んでいたせいかストーリーは問題なく理解できた。まあ水戸黄門じゃあないが、悪魔の娘が神様の息子のヒーローを好きになって迫るが相手にされず、最後にはその本性を現して退治されてしまう。コミカルな手話劇を見ているようで、特に黒い化粧の悪魔は、この人のキャラクターなのかもしれないが、仕種がとても可笑しい。ダンスは20時ちょうどに終わり、その後で顔料の石を見せてもらったり解説の続きを聞いたりして、帰ってきた。帰りは停電で真っ暗。ダンスが終わったのと同時に自家発電機の音が聞こえたし、Triv.で経験していたから驚きもしなかったが、今回は車も走っておらず月も出ておらず、本当に真っ暗な田舎の道を20分くらい歩いて帰った。慣れれば暗闇というのは心地よい。最低限のものだけが見えて、神経が研ぎ澄まされていく感じ。宿に辿り着くと、ここは流石に発電機があるようで明かりが点いていたが、これが付近で唯一の明かりだった。
そのまま部屋の前のレストランで軽く夕飯を食うことにする。ここばかりで食べたい訳ではないが、周りに何もないのでいつもここになる。まあ部屋のすぐ前で便利だし、そこそこ広いのでのんびりできる。この店には少し金を持っているようなインド人が酒を飲みに来ている。夜になると薄暗く、他の街よりは自由なのだろうが、やはり酒を飲む所は後ろめたさのような雰囲気がある。
436261ed.jpegVeg. Makhanvala 30Rs.とChappathi 4Rs.を2枚、それにコーヒー7Rs.をもらう。昼間贅沢をしたから今回はシンプルに。でもそもそもこの食堂自体が高いけどね。Veg. Makhanvala はオーソドックスなVeg. Masalaという感じで、Spicyにしてくれと注文したせいで少し辛かったけど、美味い。Chappathiもシンプルだが、焼き加減がちょうど良く、気に入った。なぜこんな簡単でシンプルなもの、日本で食うと美味くないのだろう。今回の飯は“インドの飯の基本”という感じで、非常に満足した。
ゆっくりできる宿を見つけてほっとしたせいか、疲れがどっと出てきた。Kathakaliを見ている時もコンタクトが痛くなってきて辛かった。明日は最初に銀行に行かなければならないが、他には特に予定もないので朝はゆっくり寝よう。目覚ましもかけない。目が覚めたら起きて、洗濯してから銀行にいって、午後はErnakulumを散策しようか。お腹もいっぱいになったから、そろそろ店を出てシャワー浴びて寝よう。外は嵐。
23:30 大変だ、大変だ。さっき、食い終えて勘定を頼んでいる間に斜め後ろのテーブルの上の天井板がはずれて落ちてきた。発泡スチロールのペラペラの板だからぶつかっても怪我する訳ではないが、風が強く吹き込んでくるたびに天井がバタバタして、それが続くと段々外れてきてそのうち落ちてくる。危なくはない、と言っても落ち着いて酒を飲んでいる状況でも、少なくともない。そのテーブルでは最初からインド人のネクタイしたおじさんが二人で酒を飲んでいたが、この人たちも天井を見ながら落ちてくる板をよけている。一緒に“こりゃひどい”とか“こんなもん、ぶつかっても危なくもない”とか言って騒いでいたら、そのうちに風がおさまってきて、そしたらおじさんたちが“こっちのテーブルに来て一緒に飲もう”と言う。それならちょっとだけ、と断って参加した。
389eb375.jpegこの人たち、ウイスキーかと思ったらブランデーを飲んでいる。僕も水割りで3杯ほど、ご馳走になった。話をしていると、右のインテリっぽい人はMr. Manohar(マノハール)、60才くらい。ファイナンス関係の仕事をしていて、男・男・女の3人の子供がいるそうだ。長男がMBAとってUSA、次男はロンドンにいるらしい。もう一人の、“まさに南インド人”というひとはMr. Viswanath(ヴィシャナート)48才。この人は金のディーラーで子供は同じく3人、女・男・男。長女は20代前半、長男はエンジニアになるためにシカゴで勉強中、次男サービス関係の仕事をするべくこれまた勉強中ということ。マノハールさんはクリスチャン、ヴィシャナートさんはヒンディーだが、とても仲が良く、いつもこうして仕事の後に飯食ったり酒飲んだりしてるそうだ。マノハールさんは大学を出てUSAにいたこともあるそうだが、ヴィシャナートさんは学歴がなく、本人はこれを非常に気にしている。このひと、後半はかなり酔っ払っていて(泥酔状態のインド人は、なかなか見れない。)、やたらとはしゃいで“日本でも商売したいがコネがない。お前と知り合いになれたから売れそうなものがあったら連絡しろ。スパイスでも豆でも金でも、すぐ送るぞ。ガッハッハ!”なんて言ったかと思うと、急に落ち込んで“俺は学歴ないから駄目なんだ。”なんて、僕の腕を掴みながらマノハールさんのことを恨めしそうに睨んだり、喜怒哀楽が激しいが根は単純で悪人ではないようだ。マノハールさんは酔っていたのだろうが、まともに話をしてくれて、インドの宗教とか言語とか地域性とか、色々とためになることを教えてくれる。そうこうしているうちにヴィシャナートさんが、“明晩、Malabarで飯を食わすから、夕方ホテルで待ってろ。”と言い出した。Malabarというのは、Taj Mahal系列の、Cochinで一番いいホテルなのだが、この人かなり酔っているので断ろうとしても許してくれない。マノハールさんに助けを求めても、自分も一緒に行くから、とヴィシャナートさんの味方をする。結局断りきれず、明晩20:30にホテルで待っている、と約束してしまった。当然こっちも初対面の人を信用している訳ではないし、ましてや酔っ払いの戯言なので、半分も期待はないが、このヴィシャナートさん、英語の訛りはひどいし、性格的にも長く話していると疲れるが、人間自体は悪くなさそうだ。明晩来なくても、酔った勢いで旅行者に良い顔したがっただけ、と思うからいいでしょう。結局、解散したのは23時過ぎ。シャワーを浴びて寝る。
この二人に教わったMalayalam language。
Water – ベンラン、Give me water – ベンラン・コンドア、come – バーバー、Come here – バーバー・イブデ、1 – オンヌ、2 – ランrー、3 – ムーヌィ、4 – ナーr、5 – アンチー、6 – アーrー、7 – エーリ、8 – エットゥ、9 – オンブドゥ、10 – パットゥ、など。rはすべて巻き舌で。発音が結構難しい。
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男性
誕生日:
1961/03/27

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